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宮殿へ招集されたチェ・マニョンは、王より娘を世子と結婚させてほしい、と告げられていた。
秘密裏に行われた対面だったが、この動きに気付かないキム・一派ではなかった。
国婚(コッコン)に違いない、と口を切るキム・ウィギョ。
世子が結婚するのですかと聞きかえすユンソン。
チェ大監がユンソンとの縁談を引き伸ばしたのはそのためだったのか、と呟く甥のグンギョ。
「私達には子供をはらんでいる中殿ママ(王妃)がいる。この絶好の機会を無駄に終らせるわけには行かない。」
とウィギョが心配を口にすると、キム・ホンが沈黙を破りグンギョに尋ねた。
「王が自分で決められることではない、心配するな。おまえの末娘は何歳だ?」
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本を読みながら歩いているヨン(パクボゴム)。ふと顔を挙げると、トギとソンヨルに支えられて来るラオン(キムユジョン)の姿が目に入る。
両足を上げろよと言われ、二人にぶら下がるラオン。
ヨンが見ているとも気付かず、二人に抱え上げられラオンはご満悦。
こうすると足は痛くないし、楽しいな!とラオンが言えば、一日中こうしていようとトギも賛成する。
と笑いあっていたが、ヨンの姿に気付き慌ててラオンを下ろす二人。
「何がそんなに楽しいのだ?」
機嫌が悪いヨンに、足を捻ったラオンを二人で連れてきたと報告するソンヨル。眼で直ぐに二人を追い払うヨン。
「大したもんだ、そなたは。他の男に腕を回し誰にでも笑って、その上怪我とは…!二度と怪我をするな、命令だ。」
嫉妬で怒りを抑えられないヨンの言葉にふてくされるラオン。
「怪我をしたくてした訳ではないのです。」
「他の者に笑うな、抑えろ、これも命令。」
「お断りします!」
「何?従わないと?」
と指を出すヨンに頭を弾かれると思い、とっさに防ぐラオン。その頬に奇襲キスをするヨン。
驚くラオンに、これは王世子の命令を拒否した罰だ、と笑った。
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王からの申し出を聞いたハヨンは、領議政からの縁談もあるしと渋る父親に、王の命に従ってくださいと答えた。
「世子をお助けしたい、私ではなく家門が必要だとしても問題ではありません」
と決意を示し、妨害を心配する父親に、後悔はしないときっぱりと告げた。
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ラオンを座らせ足首の様子を見るヨンは、一歩も動かず戻るまでここにいろと言った。
大したことではないと言うラオンに、また命令に従わないのかといきなり顔を近づけるヨン。
また同じ罰をうけると思い慌てるラオン。
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王からチェ家との国婚を告げられるヨン。
外戚を増やすだけと抗議するヨンに、国婚は王家の安定を運び混乱している民心を集めるだろうと主張する王。
「政治勢力を広げるために誰かと結婚はしたくはないのです。私は自分の臣下を自分の方法で集めます。」
と王命の取り下げを頼むヨン。
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この情報に内心穏やかではいられない中殿キム氏は、私のお腹にいる王子について考えてないのか、と父親をなじった。
「チェ家から王妃が選ばれたらどうするのか」と訊く中殿に、「妓女のそなたを中殿にしたのは私だ」と答えるキム・ホン。
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王の書斎から退出した後、ヨンはビョンヨンと剣を交えた。だが国婚を勧めようとする父の言葉が頭を離れず集中を欠いている。
その後、急に刀を放り出すと去るヨン。
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ラオンの元にヨンが戻ってきたのは日も暮れ、油火もつけられた頃。
「一歩も動くなと命令しておいて今頃来るなんて!」
と文句を言うラオンを見て申し訳なさそうだが少し笑うヨン。
「どうして今、笑っているのです?」
「背中に乗りなさい。」
「ええっ?!!内侍が世子の背中に乗るなんて、そんな事できる訳ないでしょう?」
「誤解するな。足を怪我したホン内侍のためにしていることだ。」
「それでもお断りします。」
「命令だぞ!」
「二人でいる時は友達として扱うとおっしゃったのに、命令だ〜命令だ〜ばかり言って…。」
「ではそなた、また従わないと?」
ヨンの静かな脅しに仕方なく従うラオン。月明かりの中、ラオンを背負って歩くヨン。
誰かに見られたらと心配するラオンに、誰も使わない道があるから心配ないと答えた後、人魚姫のおとぎ話について尋ねるヨン。
「その二人、最後はどうなるのだ?」
「王世子は人魚姫が自分を愛していることに気がつかず他の人と結婚してしまい、人魚姫は泡となって永遠に消えるのです。」
「悲しい話だな。」
資賢堂に着いてもラオンを下ろさず、また東宮殿へと引き返すと言い走り出すヨン。
「誰か見たらどうするのです~」と叫ぶラオン。
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消息のなくなった妊婦は中殿に捕らわれていた。
キム・ホンに男の子だと断言した巫女だが、実際の中殿は、女の子を身ごもっていた。
ー私は朝鮮王家を引き継ぐ新しい世子を作りだすわ。どんな事をしても…
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大木の下に座り悩んでいるラオンの所へやって来るユンソン。
とても忙しいのではありませんかと訊くラオンに、ええ、国婚の…と言って言葉を切るユンソン。
「知っています。世子の国婚のことですね。」
と今にも涙が零れそうなラオン。そっとしておこうとその場を去りながら、ユンソンは心の中で呟く。
ー望むだけ悲しんで必要なだけ泣いて壊れた心で苦しんだその後、私の所へ来て下さい。
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茶山(タサン)は、弓にぴんと引っ張りすぎた糸と言うのは、切れようと跳ね返ってくる、とヨンを戒めた。
それに頷いた後、二つの事を頼むヨン。
「今のあなたの様に不正の中にある正義を私に教えて欲しい、そして私の女人を失わない為にあなたの助けが必要だ」
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その夜、ユンソンはヨンの元を訪れた。
臣下としてお願いするべきか、友として警告するべきか考えた、と意味深に言い始めるユンソン。
「邸下の国婚、その一部始終を見ながら心が壊れそうな人がいます。そしてその人は邸下の前で何でもないふりをして笑っていなければならない。」
「何を言いたいのだ?」
「その人は私が恋い慕っている人なのです。私はあなたの欲の為に苦しむ姿を見たくない。そんな事はさせない。」
とヨンに宣誓布告する!
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頭目に呼ばれ参上したビョンヨンは、いきなり周りを剣で囲まれた。
嘘がばれ斬り殺されそうになったまさにその瞬間、笠を深く被った男が現れ止める。
笠を取りビョンヨンの前に立つハン尚膳(サンソン内侍府首長)!
「あなたが白雲会(baekwoon秘密結社の名前)の長なのですか!10年前に私をここへ連れてきたのもあなたなのですか?」
「そうだ。私はお前を見張っていたのだ。結社の集会が開かれる時に、ホン・ラオンの娘を連れて行く。」
ハン尚膳の言葉に狼狽するビョンヨン。
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資賢堂に現れたヨンは、いつもと変わらない笑みを浮かべているラオンに尋ねた。
「どうして知らないふりをするのか?いや、どうして大丈夫なふりをするんだ?」
「邸下、あまり無理をしないで下さい。どうにもならない事ってありますから。その為に泣き続ける事はできません。」
「何を考えていたんだ?消えてしまう事でも考えていたのか?知らない振りをした後は、泡のように消えるつもりだったのか?」
ヨンは茶山(タサン)からの文を渡し、女人として傍における方法を見つけたとラオンに告げた。
「そなたが話したおとぎ話は気に入らぬ。私は話の結びを変える。その二人は末永く幸せに暮らすのだ。私達の様に。」
ヨンの言葉に顔を輝かせるラオン。
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